001 まずはBOZZの基本パーツで武装する。
久田は速い車が大好きです。
でも、その速さというのはゼロヨンが何秒だとか、最高速が何キロだとかという話とはちょっと違うような気がするのです。
ゼロヨンや最高速はいわば絶対値ですね。
しかし、久田の求める速さは“相対値”なのです。
んじゃあ、何と比べての速さなんだ? と聞きたくなるでしょう。
ちょっと説明がややこしくなるかもしれませんが、わかりやすい例を出すと…例えば、エッセレーシング(笑)というデモカーを以前作りました。まぁ、まだまだ完成には程遠いのですが、とりあえず今でも元気に走っています。あのクルマは、ごくごく普通の軽自動車…それも軽としても遅い部類に入るエッセがベースです。ワークスでも、ビートでもなく、クルマを単なる移動手段として考えているおばちゃんがスーパーまで買い物に行くために使うようなクルマがベースなのです。
しかしながら、サスを固め、LSDを組み込んだ結果、驚くほどのスピードでコーナーを駆け抜けることが出来るようになりました。あのエッセがですよ? もちろん、同じレベルのチューニングを施したワークスにはかなわないと思います。でも、誰も速いと思わないエッセが思いの外速いことが久田は楽しいのです。
さて、本題です。
久田はエボ、インプが大好きですが…それと同じくらいに今はディーゼルに夢中になっています。デミオのデモカーを作成しつつ、もう一台、デミオの姉さん格であるアクセラを四苦八苦して購入し、コツコツとチューニングを進めてまいりました。ノーマルでも素晴らしいパフォーマンスを発揮するアクセラディーゼルですが、もっと自分好みにしたい、もっと気持ちよく走れるようにしたいという気持ちがダダ漏れ状態なのです。ディーゼルエンジン搭載車に関しての久田の思い、メリットは別のページ(ディーゼルエンジンが完璧なスポーツの時代に! 久田の想うディーゼル考)に色々書きました。そちらもぜひ読んで下さいね。
購入してまず行ったのは4点。
サスペンションの交換と、タイヤ、ホイールの交換、ブレーキパッドとフルードの交換、そしてECUの書き換えです。
サスペンションは、久田の愛車用車高調整としては定番メニューのブリッツZZRダンパーです。価格が安いうえに、ストリートから軽いスポーツ走行までなら十分にカバーしてしまうという優等生のサスキットです。うちのお客様たちにも人気ですね。オーバーホール時には、ダンパーカートリッジそのものを交換することになるため、日帰りサスペンションオーバーホールが可能というメリットもあります。反面、分解してダンピングレートを変更するなどは不可能となります。しかし、このZZRダンパー。ダイヤルの調整だけで、かなり大きくダンピングレートの変更が可能なのです。乱暴に言ってしまうと、「ストリートならほとんどの人に合うんじゃね?」という感じです。
ただ、アクセラ用に関しては、少し問題もありました。コーナリング中にリアサスペンションから異音が発生していたのです。組付けミスかと思い、何度も点検するも問題はなし。結果を言うと、その問題点をブリッツさんに報告したところ、わずかの期間で対応してくれました。アッパーマウント部分を改良してもらうことによって異音は見事に消えましたね。う~ん、さすがブリッツ。こんな何か問題が起きたときにはメーカーの誠意とものの考え方、そして対応力がわかりますね。原因がわかりきっているのに「とりあえず送ってください」とかいうどっかのバカメーカーとは大違いです。あ、もちろんボズでよく販売しているHKSさん、トラストさんの対応も素晴らしいですよ。
このサスペンションとタッグを組むホイールとタイヤは、当然プロドライブ&ブリヂストンタイヤの組み合わせ。GC-012Lとポテンザ・アドレナリンです。プロドライブ&ポテンザの組み合わせはボズスピードのデモカーの定番ですね。圧倒的なまでの強度と剛性をもつプロドライブホイールは、少々金額は張るものの、日本のホイールのトップクラスと言っていいでしょう。先日、某ウェブを読んでいるときに、“アルミホイールのメリットはさほど無い”的な原稿に出会いました。この方は多分…飛行機の操縦性に関してもインプレ書けるんでしょうね。運転できなくても、操縦できなくても書いちゃうんですよ、きっと。自動車のレポーターという職業についている人でもこれだもんなぁ…ホイールが軽くなったときの足回りの動きのスムーズさと、そこから得られる乗り心地、ハンドリングの向上をまるで感じない方なのでしょう。
って、皮肉言ってる場合じゃないか…以前から言っていますが、ホイールの重量、サイズがまったく同じであっても、剛性の高いホイールの場合、サーキットのラップタイムすら向上するというデータがあります。アルミホイールは、決してドレスアップのためだけのパーツではないのです。
アドレナリンに関してですが…スポーツ色の強いボズの場合、どうしてもRE71Rが話題に上ることが多いのですが…軽快で良いタイヤですよ、これ。ハンドリングが素直で思いのままに振り回せます。強大なグリップの71Rが滑り出したときにはかなり緊張しますが、アドレナリンならちょっと腕に覚えのあるドライバーならばワザとすべらせるような運転も可能なはずです。コーナーのターンインで、ツツツ…とテールが滑って素早く向きを変え、アクセルオンでその流れるテールをとめる。あぁ、俺って運転上手いかも…なんて自画自賛できる楽しさが味わえますよ? あー、もちろん、こんな運転はクローズドコースでやってくださいね。ストリートではダメ。
ブレーキパッドは、これまたボズスピードの定番であるウィンマックスのAP3です。ガチでサーキットに向いているパッドではありませんが、耐フェード性はなかなか。さらにコントロール性に優れるうえ、冷えている状態でもきちんと効きます。ローターへの攻撃性も少なく、パッドそのものの減りも少ない…挙げ句に価格もお手頃という、超オススメのパッドなのです。このAP3の性格を一言で言うと…“ハイレベルな中庸”ですか。すべての性能が高次元でバランスしてます。ボズのお客様にいつも言うのですが、「とりあえずAP3で行きましょう、そして、それが無くなるまで使って、この部分がもっとこうだったらいいな、という考えがまとまったら別のパッドに行くのもいいでしょう」とアドバイスさせていただいております。ウィンマックスさんは多くラインナップを持っていますので、AP3をベースに考え、要求する性能が明確になれば、的確な答えを導き出すことが可能になるのです。
フルードはこれまた定番のIDI-BF338。ドライ沸点が338度という化け物じみたフルードです。ただ、このフルード、沸点が高いだけがメリットではないのです。とても流動性が高く、柔らかい特性を持っているのですが…それがダイレクトなペダルタッチに貢献するのですね。ボズでフルード交換をしてから、なんとなくブレーキのペダルタッチが良くなったと感じている方はいませんか? もちろん、僅かな差ですが、その積み重ねが大事なのです。
さて、チューニングのキモ、ECUの書き換えです。ものすごく乱暴な言い方をすると、ディーゼルエンジンは基本常に全開で走っています。そして、そこに噴射する燃料の量でパワーをコントロールしているのです。てことは…燃料ガンガン入れてやればパワーでちゃうのですね。ところが、これでは久田の言うディーゼルのメリットの一つである“エコ”な面がスポイルされてしまいます。新車時にマークした、高速を気持ちのよいペースで走ってリッターあたり17キロ…という燃費を下げること無く、パワーとレスポンス、そしてフィーリングの向上を目指していかなければなりません。
結果は…もしチャンスがあればボズにいらしてください。そしてアクセラの助手席に乗ってください。「これが本当にディーゼルなのか!」と言わせる自身が少しだけあります。速いですよ…
現在、ボズアクセラは、トラスト製のマフラーとインタークーラーのテスト中です。ガソリンエンジンならば、この2点は猛烈に効果的なパーツですが…果たしてディーゼルでは?? 色々なデータはブリッツのタッチブレインを使って数値的に拾っております。
これからもじっくりと時間をかけてレポートをしていきたいと思います。地球をきれいに保ちつつ、運転する喜びを得られるクルマに仕上げてみますからね!次章を楽しみにしていてください!!
安価でありながら幅広いユーザーに対応できるブリッツZZR車高調。
プロドライブGC-012L(8-19)ホイールと、ブリヂストン・ポテンザ・アドレナリン(235/35R19)の組み合わせ。
トラスト製マフラーとインタークーラーをテスト中。ディーゼルエンジンでの効果のほどは?