001 選択肢が多いことが重要なのではないかい?
マツダのスカイアクティブD、アクセラの2.2リッター・ディーゼルエンジンの
コモンレール式燃料噴射装置(右側のパイプ部分)。
コモンレールとは蓄圧室の意で、ここに一度圧力を蓄え、およそ1800気圧という超高圧で燃料を噴射する。
燃料を微粒子化できるため、PM(パティキュレートマター=粒子状物質)の低減や燃焼自体の改善に著しい効果がある。
コモンレール式燃料噴射の開発・実用化で、
ディーゼルエンジンは新しい時代を迎えた。
デモカーとしてデミオディーゼルを製作中であり、さらに自分の足としてアクセラディーゼルを半年以上使った久田が思うことを書いていきたいと思います。
ヨーロッパではディーゼルが主流…という言葉は皆さんも目にしたことがあると思います。ヨーロッパは、クルマ好きにとってはある意味聖地です。数多くの自動車メーカーがあり、多くのスポーツカーが生まれています。さらにはドイツには速度無制限の道、アウトバーンがあり、他の国の高速道路もかなりのかっとび状態…しかし、ここですでにうっすらとした矛盾を感じませんか? スポーツカーが多く生まれる、飛ばせる道…にもかかわらずなぜディーゼルなのでしょうか? ディーゼルといえば熱効率がよく、燃費が良いことはご存知だと思います。しかしながら、パワーでは明らかに不利。大トルクが必要なトラックなどには良くても、スポーティなクルマには絶対に似合わないんじゃないか? それをなぜスピード大好きなドライバーが多いヨーロッパの人達が好んで買うのでしょう?
これにはいくつかの理由があると言われています。代表的なことはコスト。globalpetrolprices.comというサイトがあります。ここでは最新の各国のガソリン価格を見ることができるのですが…代表的なところを幾つかピックアップしてみましょう。
日本 1.08$
アメリカ合衆国 0.64$
ドイツ 1.37$
イタリア 1.56$
フランス 1.40$
オランダ 1.58$
クゥエート 0.34$(やすっ!!)
サウジアラビア 0.24$(やすう~~!)
ガソリンって、本当に大きな価格の開きのあるものなのですね。こうしてみると、代表的な産油国であるクゥエートやサウジアラビアはともかくとして、クルマ社会アメリカ(ここもシェールガス革命によって今や一大産油国ですけどね)のガソリン価格の安さ、そしてヨーロッパ各国のガソリン価格の高さがはっきりとわかると思います。
こんな価格であるにも関わらず、ドイツなどは200キロ離れた都市に日帰りで、普通にクルマを使って商談に行くという行為があたりまえと聞いたことがあります。ガソリン代、たまったものではありませんね。この価格の裏には、各国の政治がいろいろと絡んでくるのでしょう。アメリカなんか、ガソリンの税金上げるなんて言ったら、一発で選挙落ちちゃうんでしょうね。
この価格の結果、コストを考えなければならない一般民衆は、ガソリンから離れてディーゼルに移行している…というのがヨーロッパの現実であると言われているようです。
逆に日本の場合、高速料金が高すぎて、燃料代が多少変わってもトータルコストは大きく変わることはない、だからディーゼルよりも気持ちの良い(ほんと?)ガソリン車がいまだに主流なのだ。という意見があるのです。これ、本当ですかね…疑り深い久田は、この意見を素直に信じることが出来ません。
昨年、アムクレイド会の会合で富山まで行きました。納車されて間もないアクセラで行ったのですが…距離は確か430キロ位だったと記憶しています。三郷で満タンにして、富山ICを降りてから、帰路のためにまた満タンにしたのですが…恐ろしいことにクレジットカードの伝票には2000円ちょっとの文字が!! 430キロ走って2000円と少しですよ?
仮に、これが以前乗っていたエボⅩだとすると、丁寧に丁寧に走ってリッター10キロをマークしたとして…43リッター。ハイオク130円で計算したら(当時そのくらいでした)、5590円です。往復で7000円も変わるのです。これ、高速代が高いから気にならない…なんて数字ですか? 久田の10日分のお昼代ですよ?(駒形蕎麦のぶた汁蕎麦680円で計算。太打ちの田舎そばに変更した場合は1000円になるので、7日分の昼ごはん代。あ、どうでもいいですか? そうですか。。。。おいしいのに)
ともあれ、高速が高いからトータルコストで気にならないという意見は生ごみと一緒に捨ててしまいます、金曜日だし。嘘つけこのやろう!! 安いものが気になるならともかく、高いものを気にしないなんて、よっぽどの大金持ちだけじゃないですか?
もう、結論にしてしまいます。あくまでも久田個人の意見です。日本でディーゼルが伸び悩む原因はとても簡単なこと。
クルマがないんですよ!! 買いたいクルマがないのです!
マツダのスカイアクティブDは、14.0といういままでディーゼルエンジンの常識を打ち破った低圧縮比によって、
エンジンの小型軽量化、騒音の低減、NOxとPMの同時削減など、相反する課題を一挙に解決した。
あとでしつこく言いますが、マツダのクリーンディーゼルシリーズはとても素晴らしいクルマたちです。エンジンもサスも、ボディのデザインも素敵。神父さんの前で永遠の愛を誓ってもいいくらいに惚れ込んでます。でもね…マツダじゃヤダって人も当然いるのですよ。トヨタファン、日産ファン、スバルマニア…三菱…(は、いるのかな、この状態で…いいかげんにしろよ三菱っ! 俺のEKどうすんだっ!)はおいといて。
また、ミニバンじゃなきゃダメだ、軽自動車じゃなきゃダメだという方はかならずいるのです。
マツダのディーゼルがどんなに良くても、それだけですべてのユーザーをカバーすることなんか出来るはずがないのです。昔から付き合いのあるトヨタのディーラーで買う。勤めてるのがそもそもスバルだからスバル買わなきゃ。日産のセダン以外乗りたくない。こんな人達はディーゼルに乗れるはずがないのです。そもそもないんだから! 無いから増えない。メーカーも売る気ない。雑誌屋さんも吠えない。自動車評論家はアンダーだ、オーバーだという話と、燃費の結論ばかり語る…こりゃ増えるはずが無いです。エクストレイルのラインナップからもディーゼル消えちゃったしね…ハイブリッドになるらしいですが…ちと悲しい。
ディーゼルに頼らなくても、ハイブリッドという優れたシステムがある。ハイブリッドだってとても燃費がいいのだから、それでいいじゃないか! という意見もあります。しかし、久田は個人的にハイブリッドを諸手を挙げて歓迎できないのです。理由は2つ。
ひとつめの理由は、ハイブリッドの環境に対する貢献度をあまり信用できないでいることです。燃費が良い=環境にやさしい…こんな簡単な話ではないと思います。ハイブリッド車を制作するためには一般のガソリンエンジン車よりも多くのコストがかかるはずです。それゆえ、車両価格が高いのでしょうね。当然です。しかし、コストがかかるということは、部品点数が増える、工程が増える、ということとほぼ同義であると考えていいと思います。となると…増えた部品を制作するためのエネルギー。増えた工程をこなすためのエネルギーはどこから来るのでしょうか? 言うまでもありません。電気を使うはずです。そしてその電気は、その多くのパーセンテージを化石燃料でまかなっているはずです。ガソリンの使用をセーブするために石炭燃やしているのと同じですね。そして、ハイブリッド車に欠かせない巨大なバッテリーですが、これを作るために、あるいは使用済みバッテリーをリサイクルするために、これまた凄まじいエネルギーを使っているのではないかと危惧しているのです。一説には、ハイブリッド車のバッテリーはリサイクルできない…という意見すらありました。某ハイブリッド車を得意するメーカー(バレバレ、でも怖いから名前出しません)のウェブサイトを見てみると、ハイブリッド車のバッテリーはきちんとリサイクルされていると書かれていましたが、久田にはどちらが本当の話なのかわかりません。ただ間違いないのは、作るためにも、リサイクルするためにもエネルギーは必要なのです。すべての電気が、化石燃料に頼らずに出来る時代が来たとしたら、風の力や、太陽光の力でガソリン消費を減らせる時代が来たとしたら…久田の考えもきっと変わってくると思います。でも、今は考えを変えることなど無理。
ふたつめの理由は、これまた久田の独断になってしまいますが、ハイブリッド車に乗って、楽しいと思ったことがないのです。確かに、フル加速してみると(するなよ)、モーターの助けを借りて、エンジンのスペック以上の加速をしてくれます。静かです。乗り心地もまぁ、決して悪くありません。しかし…楽しくないのです。胸を揺さぶるようなエンジンの鼓動も、ワクワクするようなハンドリングも感じられません。ものすごく世話焼きのロボットに、「雑務は全て私がしますので、とにかく安全運転してくださいね」と言われているような気がします。クルマを操るのではなく、自分が操られているような気が…
環境のためには、マイカー(死語)の使用を控えることはとても大切なことだとわかっています。でも、私は電車やバスだけでは行きてはいけない…仮に完全な食品がこの世にあって、それと水だけで健康に生きられるとわかっていても、ハンバーガーも、お寿司も、ラーメンも食べたいのです。今更ですが、クルマは移動の手段だけの存在じゃない。
どうも、ハイブリッドカーに辛く当たりすぎているような気もしますが…
ここで勘違いして欲しくないのは、久田はエボ、インプよりもディーゼルエンジンを搭載したモデルを勧めているととらないでいただきたいのです。ランサーエボリューションも、スバルインプレッサ(今はWRXね)も、どちらも素晴らしいクルマです。同様に、RX-7も、GTRも、シビックやインテグラのタイプRも…みんな素晴らしいクルマです。速い、遅いだけの話ではなく、乗る者の気持ちを高揚させてくれる快感の塊のような存在だと思っています。あ、蛇足ですが、これらのクルマ。高性能なだけでなく、安全面でも素晴らしいこともお忘れなく。
これらのクルマに比べて、デミオやアクセラが全面的に優れているという話がしたいのではないし、そんなこと全く考えていません。久田が言いたいのは、スポーツユーザーにとっても、ディーゼルはなかなかイケてますよ? という話なのです。この話、もう少し続きそうなので、一度ここで切りますね。次回は、皆さんの知らない日本車についての話から入ることにしましょう。
クリーンディーゼル普及促進協議会のウェブサイト。
国内で購入できるクリーンディーゼル車が一覧になっているが、
全47車種のうち、日本のメーカーのクルマはわずかに7。
これって少なくないですか?
下の方には、日本におけるクリーンディーゼル車販売台数の推移グラフがあるが、
マツダのスカイアクティブDの販売開始とともに急上昇していることがわかる。