2012-0523号 ブレーキとは何ぞや?/ブリヂストンRE11A
相変わらず、脳みそ沸騰している久田です。仕事が遅いんだか…段取りが悪いんだか…仕事が多すぎるんだか(コレはないと自分でも思う)、毎日毎日バタバタと動き、電話をし、あちこちに駆けずり回っています。ありがたいことですね。
さて、今回のメルマガですが、ブレーキに関してのお話を少しさせてください。車の3大要素である、走る、曲がる、止まるのうちのひとつであるばかりでなく、曲がるためにも、とても大切なポイントです。ちょっとだけ、気合を入れて読んでみてくださいね。
まず、ブレーキとはそもそもなんぞや? ということを考えてみましょう。ペダルを踏み込むと、クルマのスピードが落ちるものですね。では、なんでスピードが落ちるのでしょう? パッドとローターによる摩擦が発生するから? はい、そうですね。ではなんで摩擦が発生するとスピードが落ちるんでしょう??
うーん、禅問答のようになって来ましたね。では、ここらで、ブレーキとはそもそもなんぞや? ということに結論をつけてしまいます。ブレーキとは、エネルギーの変換装置なんですね。車の持つ運動エネルギーを、熱エネルギーに変換する装置がブレーキなんです。コレをまず、覚えてください。
皆さんがサーキットなどで体験したかもしれない、ブレーキのフェード現象。あれは、熱エネルギーが溜まりすぎてしまい、放熱が間に合わなくなって、パッドがひどく高温になって摩擦係数が急激に低下したことによって発生するものなのです。
さて、それではここまでの話は、一時的に棚の上においておきましょう。ブレーキのチューニングに関して考えてみますね。ブレーキのチューニングというと、パッド交換やら、ホース交換やら、フルードの交換などが挙げられます。ブレーキ冷却用のダクトを制作することや、クーリングパネルを取り付けることもいいですね。冷やしてあげる事によって、より、長時間にわたってハードな走行に耐えられるようになります。
これらのチューニングでは足りない場合。キャリパーやローターそのものの交換をすることも珍しくありません。当社デモカーに装着されているヌカベのブレーキや、エンドレス、ブレンボ、APなどのキャリパーとローターのセットに交換してしまうわけです。
では…なんでヌカベなどのブレーキに交換するといいのですか?? コレは誤解されている人が多いポイントなんですね。先日、半デモカー状態で使わせていただいているS木さんのA-Lineをハイパミに持ち込ませて頂きました。某雑誌にも紹介していただいたので、そちらでご存じの方も多いかもしれません。
あの車両を見ていただいたり、ご自分のブログで紹介して下さった方も多いとのこと、ありがたいことです。ただ、その中のコメントに、フロントしかキャリパー交換されていない。大丈夫なんだろうか? という貴重なご意見があったようです。店でも時々聞きますが、フロントばかり効いてしまうのではないか? というイメージをお持ちの方が多いようです。…はい、コレは大丈夫なんですね。ここで声を大にして言っておきますね。効かせるためにキャリパー交換してるわけじゃないんです!!
その証拠として、モータースポーツ界の大御所であるN氏(怒っちゃ嫌、ぶたないで!)の制作したジムカーナ車両を見てみましょう。彼の制作したエボⅩのベースは当然RS。さらに、ブレンボは装着されておりません。普段久田が、大ダメ!! と切って捨てている三菱の純正キャリパーを使用しているのです。にも関わらず、競技では素晴らしい成績を残しています。特にジムカーナなんて、ハードブレーキングの嵐ですよね。でも大丈夫。コレはなぜでしょう? また、なんで久田はあのキャリパーを大ダメと言い切るのか? コレをまとめて説明しますね。
先程も言いましたが、効きを向上させるためにキャリパー交換してるわけじゃないんです。運動エネルギーから変換された熱エネルギーを効率良く貯めこむため、さらには効率良く発散させるために交換するんです。だから、ごく短時間で終わってしまうジムカーナの場合、あの純正キャリパーでも耐えてしまうのですね。むしろ、軽いというメリットが生きる競技でもあります。
筑波などでのタイムアタックの場合も。1周しかしない! 本番も、練習も、タイヤテストも、サスのセッティングも、全部1周のみ! というなら、純正でもイケるかもしれません。でも、なかなかそういうわけにもいきませんし、さらにお客様の車両の場合、連続して走ることが楽しみのひとつでもあります。だからキャリパーを交換するのです。また、リアの交換に関しては、必要になる場合もありますが(これはマスターシリンダーの話やらなんやらまで広がりますので、又の機会に)、基本的にフロントより熱は持ちにくいのです。そのため、ノーマルのままでも耐えてしまうことも多いのですね。もちろん、前後バランスを取ることは大事ですが、それはパッドの種類などでコントロールすることもできるのです。
ここで、はじめの話を思い出してください。パッドがひどく高温になってしまうために発生するフェード。これを防ぐためにキャリパー交換を行うのですね。これが結論です。効きそのもののためではありません。ならば、フェードしないパッドを使えばいいじゃないか。という声もあると思います。そうすると今度はベーパーロックが発生します。フルードが沸騰するアレですね。これは怖いですよ。フェードはだんだん発生してきますが、ベーパーロックは、直前までしっかりと効いていたブレーキが、一気に床までなんの足ごたえもなくドン! と入ります。泣きそうになる…あるいは泣く暇もなくガードレールということにもなりかねません。うちの場合、IDI社のBF338という、とても優秀なフルードを使いますが、それにも限界はあるのです。
フロントだけ、キャリパー交換を行うと、フロントばっかり効いてしまうから、リアも同時にしないとダメ…という説がおかしいということがわかっていただけましたでしょうか? さらに言うと、A-Lineだけでなく、当社デモカーのエボ2。GC8。エボ9のヌカベ以前。これら全部フロントのみの交換です。まぁ…やっぱり前後ついていたほうが色々と便利なこともあるし、かっこいいんですけどね~ 絶対必要…ではないということを覚えておいてくださいね。
さて、今回の注目アイテムですが…いよいよ、名指しで書けます。RE11A。ブリヂストンの新型ラジアルです。うーん、待ち遠しかったよお…公式でどのくらいの性能向上なのかは、オフィシャルサイトを見ていただくとして…個人的な意見を皆様に説明したくてたまらないです。もちろん、これは久田の個人的な意見です。ここに書くわけにも…いかんので店に来てくださいね!! ご来店をお待ちしております!
さて、今回のキーワードですが、最近、ホームベーカリー買ったんですよ。最初はちょっとバカにしてたんですけどね…いやぁ、楽しいです。今は、小麦の産地やら、種類やら、中身に入れるものをどう組み合わせるかに夢中です。ということで、今回のキーワードは“久田はパン焼きに夢中”に致します。あー、でも、今の俺にパンの話させると長いですよお…って、せっかく14キロ痩せたのに、また戻りそうで怖いです~~では、また次号で!!!